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比較の視点は競合他社

強みと弱みを明確にするためには、そもそも比較対象が必要になります。比較の基準となるものがなければ、特徴を明確にする事は困難です。何が強みで何が弱みなのかを把握する為には何かと比べて初めてそれが明らかにされる事になります。

なんと比べるか、それは競合他社です。自社と同じ様な商品を扱っている他の企業を競合他社と言いまが、競合他社はまさに貴方のライバルです。常日頃から競合他社の動向には注意を払っておくことが必要なのです。

顧客は、商品やサービスを購入する場合、様々な条件を比較検討します。そして、自分に取って最もメリットのある企業から商品を購入する事になります。つまり、自社の商品を購入して貰う為には、競合他社と比べて何がどのように異なるのか、そういった視点で自社の特徴を整理する事が重要なのです。

競合他社の事は、商品やサービスのみならず、その売り方や企業の特徴など広範囲に渡って調査しておく必要があります。企業は営業方法なども常に変えているものです。一度情報収集して終わりと言う事ではなく、継続的な調査を行う必要があります。

競合他社とは必ずしも同業他社や、同じ商品を扱っている企業に限らない事に注意が必要です。例えば顧客が洋服をクリーニングに出す事を考えている場合を想定してみます。自社がクリーニング店であれば、近郊のクリーニング店の情報収集を行う事は大前提です。

一方、顧客がクリーニングに出すか出さないかの判断は、大きく二つの要素によって決定されます。

① クリーニングに出すなら何処にだすか。
② クリーニングに似たサービスはあるか。

① は自社と同じエリアのクリーニング店が競合他社です。遠方のクリーニング店も宅配の仕組みがあれば競合他社になります。

しかし、②に付いては必ずしもクリーニング店とは限りません。クリーニングと同等の効果を得られる「洗濯機、乾燥機」の可能性もあります。こういったものを代替品と呼びます。

自社の商品やサービスをなんと比較しているのか、それはあくまで「顧客の視点」に立つ事が重要です。貴方の商品を購入する時に、顧客はなんと比較するのか、必ずしも同業者だけに限定されないのです。

比較の視点を変えて自社商品の訴求を行う。

自社の商品やサービスの訴求を行う際には、その特徴と競合相手の商品、サービス内容を把握する事が重要になります。

「ハンバーガー店の場合」

① 近郊の同業他社と比較した訴求点(強み)
  接客が良い
他社より安くてボリュームがある

② これを訴求する訴求例

「当店のハンバーガーは他店に比べて圧倒的なボリュームがあり、価格もお安くなっています。どうぞお買い求めください」

しかし、競争業者は同業他社だけとは限りません、ハンバーガーを食べると決めて「ハンバーガー店」を探す人よりも、小腹を満たす為に「何を食べようか」と迷っている人も多いと考える事が出来ます。

この場合、競争業者は近郊のハンバーガー店だけでなく、隣のそば屋や、ドーナッ店や軽トラの焼き芋屋になるかも知れないのです。ですからハンバーガーと言う商品に着目するよりも周りのお店と比較して出てきた特徴を訴求した方が良いと言う事になります。

③ 効果的な訴求例

「すぐに食べられセットがお得」
「一階30席、2階50席」(空間的な魅力)

「新築住宅を販売している工務店の場合」

① 訴求例

「当社の新築住宅は、他社に比べて耐震性に優れており、かつ、低コストで建てる事が可能です」

不景気の時代であれば新築する人ばかりではありません「リフォーム」という発想も出てきます。同業他社の新築住宅と比べる事も大切ですが、リフォームと比べた時の新築のメリットも訴求点として重要になります。

地域によってはマンションが比較対処になる場合もあるでしょう。

② 効果的な訴求例

「当社の新築住宅は、リフォームと同等の価格水準でありながら耐震性に優れた住宅です。  

「買い手の視点に立って考えれば、どのような視点で買い手が見当を行っているのかが理解出来ます」
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売り方はお客様が教えてくれる

「住宅リフォーム、建築塗装」
売り方はお客様が教えてくれる

聞くことで相手を動かし成功に繋がった、ある事例をご紹介しましょう。

Aさんは建築塗装の営業をしています。駆け出しの頃は足が棒になる程、歩き廻りましたが成果が上がりませんでした。それで、何時の間にか自分はセールスには向いていないのでは、と思うようになりました。

そんなある日、飛び込みである家を訪ねた時の事、出てきた若い奥さんに何時ものセールスをしていると、奥さんが「塗装もしたいけど」とぽつりと言いました。

「塗装をしたいけど、どうなさいました」と訪ねた所「今はまとまったお金がないから」と言うのです。「分割払いという方法もありますよ。一月に幾ら位なら無理なくお支払いになれますか?」

それから話が始まり、資料など置いて帰ったそうです、暫くすると電話が掛かってきました。「主人が帰って来ましたのでいらしてください」Aさんは勇んで飛んで行きました。そしてその家でちょっと説明した所塗装の契約が決まったそうです。彼はとても喜びました。そこで終わるのが普通の人。

しかし彼は非凡の人でした。はやる気持ちを抑えて、どうして塗装の契約が決まったのか?と徹底的に考えて見たのです。そしてある発見をしました。

Aさんは今迄は自分の話を相手に押しつける事で頭がいっぱいでした。しかし、相手の話を聞けば、売り方はお客さんが教えてくれる物だと分かったのです。それからAさんのセールス法は一変し、やがて彼はめざましい成績を上げるようになりました。

話すのが本業のような営業の仕事でも、聞く事によって相手を動かして行くと言う実例です。人は誰でも「話したい」という気持ちを持っています。話を熱心に聞いて貰うと、気分が良くなります。ですから、そういう人には好印象を抱きます。やはり聞く事は大事なのです。

さらに良い聞き手は、話し手の意欲を引き出し、真意を掴む事が出来ます。良く聞く事の影響は、聞き手自身にも現れます。良く聞けば、より多くの情報を得る事が出来ます。説得点を発見できたり、逆に自分の盲点に気づく事もあります。

新しい刺激を得る事で思考力も高まります。そして、良い聞き手として話し手を良く観察する事で、話し方の訓練にもなるのです。

★自分自身を納得できて、はじめて人を説得出来る

何を頼まれるのか分からないのに「頼み事があるんだけど」と言われただけで「はい、やりますよ」と答える人は滅多にいません。「頼み事はたいてい「これこれこう言う事だから、今日中にやって貰えないか?」とまず説明する事から始まります。これが一般的な傾向です。

その内容を知的に理解して、次に情的に了解し、そして自発的な納得へと至ります。これが人を動かすプロセスです。

頼みたい内容を知的に理解して貰えるかどうかは、相手を説得する事の入り口であり、大事な関門です。

相手に分かるように説明するには、先ずは自分自身が、その事を十分に理解していなければなりません。そして、自分自身が理解した内容を、自分の言葉で伝え、相手の頭に焼き付けるのです。

さて、説明して一応相手の頭で分かって貰えたとしても、すぐ動いてくれるとは限りません人は相手の言葉に「嘘がない」「間違いがない」といった安心感を抱いた時、初めて動きだすのです。

つまり、話し手に対する信頼感が人を動かすと言う事です。そうした信頼感は話し手の心底からほとばしる誠実さが生み出す物です。

「話は分かった、その通りだよ、だけど私はやりたくない」と言うのは、頭(知的な物)では理解出来ても、心(情的な物)では十分に納得していないという、知的なものと情的なもの、そして、意志的な物とが調和した時人は動くのです。

脱線しながらの話でも「話し上手」が災いして、人を動かせない事もあります。人を動かすのはテクニックではないのです。凄腕の保険の外交員が「保険のセールスで、一番大事な事は誠実さだ」と言いました、まさにその通りです。

トップの外交員にして、そう言わしめたのです。日常の生活を通して、私たちはこの事を実感として受け止めている筈なのです。

第3回 心理学をベースに体系化された「NLP」理論 1,

お客と良い関係を作る事が、セールスの第一歩であることは、これまでに述べてきた事で分かって貰えた事だと思います。ここではお客と良い関係の作り方を、体系化した「NLP理論」を紹介します。

「NLP理論」を考案したのはグリンダーとバンドラーと言う二人の心理学者です。NLPとはニューロ、リンギスッティック、プログラミングで日本語では「神経言語プログラミング」と訳されます。

私達は「キムチ」という文字を見ると「辛い」と連想します。言葉と脳の神経が繋がるので、辛さを思い出し、表情まで辛い顔になります。

これと同じようにセールスでも貴方の言葉はお客の神経に働きかけるのです。また、動作もお客の神経に影響を及ぼします。それならば、良い面で働きかけようとの考えから心理学をベースに体系化されたのが「NLP理論」なのです。

つまり「NLP理論」を学べば共感ゾーンが広がり、良い人間関係を作るのに役立つのです。心の中で貴方の親友を一人思い浮かべてみましょう。どうですか。貴方との共通点は多くありませんか?同じ出身地、学校が一緒、クラブ活動が一緒、同期に入社した、趣味が一緒等々。

私達は自分と似ている人が好きなのです。これを「LIKE =LIKE の理論」と言います。
LIKE には「好き」という意味と「似ている」(~のような)と言う2つの意味があります。つまり人は「似ている」人を「好き」になる物です。これが「LIKE=LIKEの理論」なのです。

ですから、営業ではお客に似せたら良いのです。お客に好かれたいなら、お客に合わせれば良いと言う事になります。「暑いですね」と言われたら、仮にあまり暑いと思っていなかったとしても「本当に暑いですね」と合わせていけばいいのです。

普通、目には見えませんが営業マンとお客の間には心理的な暑い壁があります。相手に合わせないでいると、この壁は益々厚くなってしまうものです。

「今日は暑いですね」と言われて「そんなことはありませんよ」と言ったら、しらけてしまいますし、会話も続かない様になります。「本当に暑いですね、もうクーラーは入れましたか?」と肯定して合わせたら良いのです。

こうすれば、会話も続いて行く事でしょう。

人は似ている人を好きになりますから、相手に合わせて行く事が欠かせないのです。この相手に合わせていく事を歩調を合わせる、ペースを合わせると言う意味でNLPでは「ペーシング」と読んでいます。

ペーシング3つの領域「BMW」
Body Language(ボディランゲージ)
姿勢、身振り、手振り、服装、態度、動作、表情、呼吸、座り方、足の位置。

Mood(ムード)
喜怒哀楽、明るい、静か、熱意、フィーリング、信念、価値観、思考

Words(話し方)
スピード、声の高低大小、表現、言葉の長短、専門用語、外国語、口調

第2回、曖昧さと言う顧客心理

貴方は商品に付いてはプロです、知識もあります。しかしお客は平気で言うでしょう。

「色がちょっと良くないね」「デザインが今一つだね」等々。

どんなにこちら側が研究開発やマーケティングを重ねたとしても、お客は平気で感情や気分で物を言うのです。

ですから、お客が最初は「NO」と言っていても、それはあいまいに答えている可能性が高いので「YES」に変わる可能性は十分にあるのです。

商品を売りに行っても「いいですね」というのは、むしろ珍しいと思はなければいけません。大半は「高いですね」「予算がないから」「間に合っています」というように「否定的」に反応してくるのです。

つまり「NO」は「NO」ではないのです。とりあえず人間がする反応が「NO」だと考えればいいでしょう。

「NO」と言うのはむしろ当然の反応ですから、そこから話が始まるのです。もしも「NO」は「NO」ではないと言う事が分かれば、お客からの一言一言にあせる必要は全くありません。「NO」と言われたら「ああこの人もまともな人間なんだね」と思っていたら良いのです。

そこから本当の営業が始まっていくのですから。

人間の行動パターンに付いてザイアンスと言う学者が説いたのが次の3つの法則です、一般に「ザイアンスの法則」として知られたいます。

1,人は知らない人には攻撃的、批判的、冷淡に対応する。
2,人は会えば合うほど好意を持つ3,人は相手の人間的側面を知った時に好意を持つ。

これらの事から分かる事は「良い人間関係を作るには良く知り合う事が大切」だと言う事です。

つまり一般のコミュニケーションでも同様で、人は知らない人に対しては平気で冷淡な対応をする物ですし、出来る物です、と言う事は、営業マンとしては顧客と親しくなり、冷淡にされないように努力していく事が欠かせなくなってくるのです。

2番目は「熟知性」として知られている法則で、接触回数を高める事で好意を持って貰えます。お客とは「会えば会う程」いいのです。

昔、セールスでランチエスターの法則がブームになった事があります。もとは第一次大戦時の航空機の戦闘での「法則」だったのですが、それがセールス向けに応用されて知られる様になりました。

その中に「売上げは訪問回数の2乗に比例する」と言うのがあります。つまりお客を訪問して会えば会うほど「2乗的に」売上げもアップしていくと言うのです。

これは営業の格言である「営業マンは用がなくても通え」とか「渡してきた名刺の厚さが売上げに通じる」などというのとも同じです。

「今日はパンフレットが出来ました」「「是非お知らせしたい事がありまして」と用事を無理にでも作ってお客の基へ通う様にしましょう。

つまり、口べたであっても会う頻度を多くする事が大切なのです。

相手に喋らせて相手を知る事がポイントとなります。そして、自分を語り相手に知って貰う事が目的ですから、別に説得力も必要ありません。

例え口べたでも接触頻度を多くすれば、好意を持って貰えるのです。ですから、1ヶ月に1回会って30分話するよりも、1ヶ月に6回会って5分ずつ話した方が良いのです。

第1回「商品が良くても売れない」のは何故か?

営業の世界では、いたずらに価格競争に持ち込む事を避ける為に「品質訴求をせよ」といいます、「品質訴求」とは価格より何よりも商品の良さに訴えかけると言うものです。

しかし、果たして商品が良かったなら、それだけで売れるのでしょうか?

決して売れません。「何故自分は売れないのだろうか」と悩んでいる営業マンは、セールストークに磨きを掛けたり、商品知識を覚えたり、また品質の良さを強調していく前に、忘れてはならない事があります。

それは商品が良くても売れないと言う大原則です。この事は他の何にも増して営業の段階で覚えておくべき事の一つです。何故なら、セールスというのは「相手、お客のニーズ」が最優先されるからです。

その為にはまずニーズを掴む必要があります。「ニーズを掴む為には質問テクニック」で情報収集を事前にしておく事が欠かせないのです。

次に商品が幾ら良くてもその良さが伝わらなければなりません。無理に説得するのではなく、相手に納得して貰えば黙っていても相手は財布を開く物です。

納得して貰う為には「人間心理」を知る必要があります。「予算はいくらでもあります、いい商品ですからどんどん持ってきてください」等というお客様は一人もいない筈です。またそんな相手がいたら変だと思わなければなりません。

つまり「人間心理」を理解した上でセールスをする必要があるのです。そして、相手の「人間心理」を知る事に加えて貴方は営業マンとして、まず商品を売り込むのではなくて、自分を知って貰い好意を持って貰う必要があるのです。

一般の通常の営業活動では。原則的に「営業マン」と言う「人」が物を言うのです。だから「嫌われたらおしまい」と言うのが営業の土台になるのです。

さらに言いますと、相手に好かれる事を実践していくことが欠かせません。貴方自身が相手に好かれたなら、後は無理に売り込んだりしなくても、自然と営業はうまくいく物なのです。

商品が良いだけでは売れないのだと言う事を忘れてはなりません。

チャルディーニの法則
人は信用していない人の言う事は信じません。また、人は「知らない人とは取引しない」「嫌な奴からは買わない」物なのです。

ここに出した例は極端に思われるでしょうが、私たちが「物を買う時」の心理を表して入る物です。同じ車でも友人が勧めれば買うでしょう。貴方が車を欲しいと思っていたなら、多少高くても知っていて、感じのいい人から私達は買いたいと潜在的に思って入る物なのです。

有名な「チヤルディーニの法則」と呼ばれる人間関係の法則があります。チャルディーニというのはアリゾナ州率大学の教授の名前です。その法則というのは「人は好意を持っている人からの要請を受けると、それに積極的に応えようとする」と言うものです。

人間には共通した「行動パターンがある」

人間には共通した行動パターン」「反応パターン」があります。それさえしっかり出来たなら、貴方の営業力は飛躍的に増大する物なのです。

人間の「行動パターン」が分かれば「どうすれば好意を持って貰えるかが分かるからです」営業活動の」究極は「売上げを上げる事ではなく、良い人間関係を作る事」にあります。

売上げは結果として付いてくるのです。相手と良い人間関係を作る第一歩が人間自分も含めた他人を知る事なのです。まず、自他を問わず人間の心理を含めた「行動パターン」を理解し、人間を知る事により不敗の営業マンになれるのです。

前述のように商品が少し気に入ったとしても、営業マンが気にいらない様だと、お客は商品を買わないものなのです。まず営業マンは「感じがいい」事が肝心です。好意、好感、好印象これらを与えて行ったなら相手は必ず買おうと言う気になるものです。その為の第一歩は人間の「行動パターン」を理解することなのです。

何故話がすれ違うのか?

言った側と聴いた側で話が食い違う事がよくあります。話し手の意図した通りに、聴き手が受け取ってくれれば良いのですが、必ずそうではありません。

それは何故何でしょう?程度の差こそありますが、いろいろな対象に対して人が自分なりの「観念」をもって向き合っている為です。

はっきりした 理論的根拠や道徳的理由もないのに、漠然とした形で起こる観念もあります。

思い込みや先入観、固定観念、曲解、偏見などと言われる強い観念もあります。妄想や狂信となると病的です。もっと酷いのは、最初から聞こうとしない慢性拒否症です。

このように、話す前におのおのが持っている観念を直前観念と言います。身動きの出来ない、直前観念で固まっていると、その話に対応する事は出来ません。

聞き違いによる誤解

単純な聞き違いが原因で話がうまく伝わらないことも結構あります。まず聴く側が言葉を省略して聞いてしまう事、言葉は前後の文脈によって意味付けられます。

聴き落としたり、勝手に省略して聴いてしまうと、その言葉は勿論、前後の言葉の意味も変わり全体の理解にも響いてきます。

逆に「付け加えて聴く」と言う事も起こります。不足している言葉を善意に解釈して補足するのではなく、勝手にこうらしいと想像して話手の言わんとする事を曲げて受け取ると、相手の真意が理解出来なくなります。

又、話手や内容に対して、好悪の感情や仮設を持っていたりすると、意味を正しく理解出来ません。

内容をゆがめて聞く事になるからです。もしこうした経験があるなら、出来るだけ素直に、相手が言わんとしている事をありのまま受け止めるように努める事です。

もっと積極的には①メモする②質問する③要約して復唱する、等が必要になるでしょう。そして、何時誰が何をどうした、それは何故かと言った話の内容が、それぞれ繋がりを持ちながら、図として頭の中に描かれれば良い訳です。

人手不足は本当に「悪」なのか 騙され続ける日本人

mediaビジネスonline2019/04/09 08:06

4月5日、東京商工リサーチが、「人手不足」関連倒産が前年度から28.6%増の400件となって過去最多だと発表した。

 という話を耳にすると、「そら見たことか、一刻も早く外国人労働者をジャンジャン投入しろ!」とドヤ顔で主張される方も多いことだろう。

 あるいは先日、子どもたちへの謝罪が話題となった五島勉氏の『ノストラダムスの大予言』ばりに、「このまま人手不足が進行すると日本が滅びる!」という恐怖にとらわれて眠れぬ夜を送っている、という方もおられるかもしれない。

いずれにせよ、日本の「人手不足」というものが、いよいよのっぴきならない状況になった、と危機感を抱く方が大半なのではないか。ただ、筆者の感想はちょっと違う。危機感を抱くのはまったく同じなのだが、その中身は180度逆なのだ。

 このニュースをネガティブに受け取る方が多いことは、「人手不足=悪いこと」と信じられており、「人手不足倒産」は社会全体で避ける「悲劇」だと思われているということだ。

 これはかなりマズい。

 「人手不足=悪いこと」なので、「人手不足」を招く「賃上げ」も「悪」とされてしまうからだ。

 賃金が上がらないと、先進国で最下位の労働生産性はいつまでたっても上がらない。それは低賃金労働者を拠りどころとした「低価格・高品質」競争が続くことでもあるので、日本のデフレ脱却は夢のまた夢ということだ。

 つまり、「人手不足=悪いこと」という常識が続く限り、日本に明るい未来は訪れないということだ。

 「はあ? 日本中が人口減少で働き手がいなくて困っているのに、そんなワケのわからぬイチャモンをつけるような反日ヤローは今すぐ日本から出て行きやがれ!」という愛国心溢れる方たちからの罵詈雑言が飛んできそうだが、そもそも「人手不足」と、今の日本が直面している「人口減少」はそこまで大きな因果関係はない。

●「雇用ミスマッチ」が大きな要因

 厚生労働省職業安定局の「人手不足の現状把握について」(平成30年6月1日)を見れば明白だが、日本の人手不足は局地的な現象で、建設業、宿泊業・飲食サービス業、医療、福祉、運輸業、郵便業などのいわゆる「人手不足産業」と、そうではない産業に大きな落差がある。

 そして、これらの分野別の分析を見ると、人手不足の原因・特徴は「労働者時間が長く、給与水準が低い」(運輸分野)、「休日が少ない」(建設分野)、「賃金が安い」(介護分野・宿泊業、飲食サービス分野)とある。

 もうお分かりだろう。人手不足は人口減少うんぬん以前の問題で、過酷な労働条件にもかかわらず低賃金がゆえ働き手から敬遠されるという「雇用ミスマッチ」が大きな要因なのだ。

 「雇用ミスマッチがあるのは事実だが、それを悪化させているのは人口減少だ」と食い下がる人手不足業界の方も多いかもしれないが、この問題に人口が減った、増えたが関係ないことは既に歴史が証明している。

 例えば、人口が右肩上がりに増えていた1960年代も、日本は「深刻な人手不足」が社会問題になっている。人手不足が原因で中小企業はバタバタと倒れ、1965年の中小企業白書によれば、倒産は4200件にものぼった。

 そう聞くと、「人は増えていたけれど、高度経済成長期でそのペースを上回るほどの人手が必要だったんだな」とか思うかもしれないが、この事態を招いたのは「人の数」ではなく「賃金」である。

 『大企業 過剰人員整理急ぐ 中小企業 人手不足が深刻化』(読売新聞 1962年6月12日)という当時の新聞記事を見ても分かるように、実はこの時代、大企業の製造業は、臨時工という非正規から正社員にしたものの、事業縮小、集中生産などで人が余ってリストラを敢行していた。

 そうやって労働力がちまたに山ほど溢れているにもかかわらず、中小企業は「人手不足」でバタバタと倒産をしていたのである。

 中小企業がほしいのは、安い金でコキ使える若者だが、大企業からクビを切られてちまたに溢れているのは、賃金要求の高い中高年。彼らはそもそも重労働・低賃金の「人手不足業界」で働こうというつもりもない。

 当時はこれを「中小企業にとっては“見込みなき求人”が激増するという皮肉な現象」(同上)と説明したが、現代でいうところの「雇用ミスマッチ」であることは明らかだ。

●「人手不足=悪いこと」になった背景

 「人手不足」の本質が「低賃金」だということは、1967年の日本生産性本部の調査でも明らかになっている。調査を報じた記事の見出しが分かりやすい。

 『低賃金、耐えられぬ 大半が「もっと大規模」へ移動』(読売新聞 1967年6月26日)

 中小企業が中途採用した若年労働者が、なぜ定着しないのかを調べたところ「低賃金」に失望したという理由がもっとも多かったのだ。 

 つまり、人口が右肩上がりで増えていた時代の日本では、「人手不足で倒産しました」という話は、「ああ、低賃金労働者が確保できなくて倒産しちゃったのね」という受け取られ方だったのである。 

 それがなぜ今のように、「人手不足=人口減少が招いた弊害」みたいなイメージに変貌してしまったのか。 

 ターニングポイントはバブル期あたりに、信用調査会社が「人手不足倒産」というキャッチーな言葉を生み出したことにある。この新たなトレンドを日本経済新聞は以下のように報じている。 

 『「人手不足倒産」――最近、こんな耳慣れないことばが登場してきた。特に、大都市圏への労働者の流出に悩む地方で、好況下の倒産が増えている』(日本経済新聞 1989年4月2日) 

 記事では、愛知県の建設会社が、受注高が上向いていたにもかかわらず、鉄筋工など職人の確保ができず、工事が遅れたことで倒産したケースを引き合いに出して、「労働需給のひっ迫による賃金上昇で、企業収益は圧迫され始めている」(同上)と結んでいる。 

●「人手不足倒産」を「人口減」とひもづけて語る

 このあたりから、信用調査会社のデータをもとに「最近の企業倒産は人手不足と後継者難が目立つ」(日本経済新聞 1989年5月19日)という報道が急増。あれよあれよという間に、「人手不足倒産」とは、業績も良くて利益も出ている優良企業をある日突然襲う不条理な悲劇とされ、「低賃金」と切り離されていくのだ。 

 もちろん、信用調査機関のデータをうのみにせず、本質を見極めようという人たちも多くいた。例えば、1989年8月23日の日本経済新聞の記事を執筆した記者は、「人手不足倒産ブーム」を以下のように看破している。 

 『人手不足倒産は、信用調査機関などがつくった今風の「キャッチフレーズ」に過ぎない』
 
 『いま起きている倒産の多くは、人手不足に根本の原因があるわけではない。競争力の衰えた企業が脱落するという、ある意味で健全な構造調整の動きである。企業の盛んな新陳代謝――人手不足倒産の実態は、むしろ今の景気の力強さを物語っている』 

 個人的には、これほど「人手不足倒産」の本質をついた論評はないと思っている。社会の生産性が向上していく中で、低賃金労働に依存しなければ存続できない企業が淘汰されていくのは、ある意味で当然の「新陳代謝」だからだ。 

 が、残念ながらこのような考えが世間に定着することはなかった。「人手不足」は「新陳代謝」どころか、「治療しなくてはいけない病」として「賃上げ」を否定する根拠とされ、「失われた20年」を経て、すっかりと日本人の頭に「常識」として刷り込まれてしまう。 

 次に、「人手不足倒産」という言葉が注目を集めたのは2014年のことである。『1980年代末のバブル経済がもたらした「人手不足倒産」の再来』と報じた当時の日本経済新聞(2014年8月12日)の記事には、こんな表現がなされている。 

 『真夏の日本を覆う人手不足は、人口減がもたらす成長の足かせか』 

 人口右肩上がりの高度経済成長期やバブル期に見られていた「人手不足」に、新たな社会不安がひも付けされていく。 

 本来、「低賃金」などが引き起こした「雇用ミスマッチ」だったのに、いつの間にやらその本質はうやむやにされて、「人口減少」という「人数」の問題にすり替えられてしまうのだ。 

●日本は50年近く「外国人労働者」に依存

 このミスリードが、先人たちが阻止してきた「移民政策」にかじを切らせたことは言うまでもない。外国人労働者を増やしても「雇用ミスマッチ」が解消されず、国内の労働者の低賃金が固定化されるのは過去の欧州を見れば明らかだ。にもかかわらず、日本は踏み切った。「人手不足は労働者の頭数が減ったからである」という思想が社会の隅々まで浸透している証左だ。 

 といっても、この傾向は今に始まったことではなく、日本人の伝統的な労働観に基づく部分も大きい。歴史を振り返ると、この100年余り、日本は低賃金労働者が必要になるたびに、「人手不足」の恐怖をあおって、ちょいちょい外国人労働者を入れてきた。1917年に「労力の輸入」として、北海道や九州の炭鉱に朝鮮人労働者を採用したのもそうだし、その後の「徴用工」も同じ発想だ。

 バブル期、「人手不足倒産」という言葉が誕生した時もしかりである。『中小企業、難民めがけて求人殺到 偽装・片言「構わない」』(朝日新聞 1989年9月3日)という記事に登場する林業や建設会社の経営者は、日本に漂着したベトナムや中国の難民を雇いたいと訴え、こんなことをおっしゃっている。 

「日本の若者は力仕事の多い第1次産業を敬遠する。健康な人なら日本語が不自由でもどんどん雇いたい」

「片言の日本語か、英語が話せさえすればいい」 

 30年前から「人手不足」の構造が変わっていない以上、この春から来る「外国人労働者」に対しても同じような感覚で扱うのは容易に想像できよう。 

 外国人実習生、じゃぱゆきさん、外国人留学生など、実は日本は既に30年近く「外国人労働者」に依存してきた。それでも結局、「人手不足」は解決されず、むしろ悪化していることからも分かるように、問題の本質は「労働者の数」ではないのだ。 

●実態は「低賃金労働者不足倒産」

 にもかかわらず、日本政府は低賃金労働者を増やそうとしている。競争力が衰え、低賃金労働に依存する企業も「票田」になるからだ。彼らを「延命」させることで、自分たちの政治生命も伸ばすことにつながるのだ。 

 実はこのあたりにこそ日本の生産性向上を阻む原因がある。技術力もあって、労働者も勤勉な日本が他の先進国の中で際立って労働生産性が低いというと、やれ残業時間が長いとか、無駄な仕事が多いという話になるが、それは大した問題ではない。 

 問題は、政治家も企業も、そして我々労働者も、「低賃金労働」に骨の髄まで依存してしまっていることだ。 

 「日本が成長をするには、ある程度の低賃金労働はしょうがない」という考えが常識となっている。そのモラルの壊れっぷりは、「金メダルを取ったり、優勝をするためにはある程度の体罰もしょうがない」という主張と丸かぶりなのだ。 

 「人手不足」関連の倒産の中に含まれる「後継者」がいないという問題もたどっていけば、「低賃金」である。分かりやすいのが、セブン-イレブンのオーナーだ。コンビニはバイトが集まらず、オーナーが死にそうな思いで一人働いている。 

 そんな姿を見て、オーナーの息子は後を継ごうと思うだろうか。親の一代で終わりという決断をするのではないか。 

 まずは「人手不足倒産」なんて、実態にそぐわない言い換えはやめて、「低賃金労働者不足倒産」と現実に即した言い方をすることから始めないか。
(窪田順生)

人を動かせない話し方「3つの共通点」

2019年04月09日 15時15分 PRESIDENT Online

営業成績がふるわない人は、どれだけ「いい話」をしていても、相手の心を動かせない。それはなぜか。コクヨのコンサルタントの下地寛也氏は「なぜかYESをもらえないプレゼンや話し方をする人には、3つの共通点がある」という――。※本稿は、下地寛也著『プレゼンの語彙力』(KADOKAWA)を再編集したものです。

■「正直者で、真面目で、いい人」すぎる

プレゼンで、しっかり準備をしているし、何もおかしなことは言っていない、それどころかいい提案をしているのに、なぜか思うようにYESがもらえない人がいますよね。私の長年の観察からいうと、そういう人は、「正直者で、真面目で、いい人」な可能性が高いです。これはいったいどういうことでしょうか?

まず、正直者の人に知ってほしいことがあります。それは、人間は無意識に、「得すること」を選ぶより、「損すること」を避けようとする、という事実です。「損失回避の法則」という心理学の法則です。たとえば実験によると、100ドル得たときの嬉しさより、100ドル失ったときの悲しさの方が2倍も強いと言われています。

つまり、「あなた、これをすると100ドル得しますよ」と訴えかけるよりも、「ちょっとあなた、これをしないと100ドル損しますよ」と言われた方が、聞き手に強いインパクトを与えることができるわけです。

ためしに、あなた自身が「あれは得したなあ」というエピソードを考えてみてください。…いくつ思いつきましたか? では次に、「あれは損した」というエピソードを考えてみてください。「もっと安く売っているのを知らずに高く買ってしまった」「ある情報を見落としていたために、間違った選択をしてしまった」という経験は、いくつか思い出せるのではないでしょうか? 損した記憶というのは、得した記憶より強く残るものなのです。

■正直に話しすぎると相手の心を動かせない

もうおわかりですね。プレゼンでも「これをすると得ですよ」と言われると「ふーん。まあ、いいか(面倒くさいし!)」と思いますが、「これをしないと損をしますよ」と言われると、にわかに「なに? なに?」と聞く気になります。

プレゼンでYESをもらえる人の決めゼリフは、「これで1日200円お得になります」ではなく、「これを知らないと1日200円、損しているかもしれません」なのです。正直者の方は間違いなく、「これで1日200円お得になります」と言っています。

他にも「この方法を知らずに、非効率なやり方で損をする人が多いんです」とか、「今日を逃すと50%オフのサービスは受けられず損ですよ」といった言い回しもできます。いつもの表現を見直して、決めゼリフを「知らないと、やらないと、損」の方向に変えてみてください。

■言葉を尽くしすぎると伝わらない

プレゼンでYESを引き出しにくい人の特徴2つ目は「真面目」です。言うまでもなく、きちんと準備するとかアポに遅れないとか、そういった真面目さは必要です。でも、プレゼンが上手く行かない人の真面目さは、こうした真面目さではありません。

プレゼン下手の真面目な人は、わかりにくいことを一生懸命に言葉を尽くして説明しようとします。しかし現実には、相手が知らないことは、理屈や詳細をいくら説明しても伝わらなかったりします。

たとえば初めてプロジェクトに参加する若手に対して、プロジェクトと普段の通常業務との違いを説明するのはそれなりに難しいでしょう。「通常業務は決まった人が決まった順番で仕事をするものですが、プロジェクトは一応の役割分担は決まっていますが、そのときどきで臨機応変に動いて仕事を進めるものです」などと言っても、相手がピンと来ない可能性がありますよね。

■思いきったたとえをする

こんなとき、「たとえてみるとサッカーと野球くらい違います。通常業務は野球のように打順や守備位置が決まっていて迷いませんが、プロジェクトは、一応の役割は決まっているものの、サッカーのように状況を見ながら自分で考えて動く必要があります」と言えば、誰でもイメージしやすくなるでしょう。

プレゼンでするっとYESをもらえる人は、こうした思いきったたとえができます。「そんな大雑把なたとえでは誤解されてしまうのでは」とも悩みません。だって、思いきってたとえたほうが、聞き手はわかるからです。細部まで正しく伝えようとして結局何も伝わらないより、はるかにいいでしょう。これは、プレゼンに必要な度胸ともいえます。

一つだけ、たとえを考えるときは、聞き手がよく知っているものを選ぶ必要があるので注意してください。

■いい人すぎるとYESを引き出せない

「いい人」も、プレゼンの際に相手をその気にさせられない傾向があります。「いい人」は本当にいい提案をしたうえで、判断を相手に委ねるからです。YESを引き出せる人は、最後の最後に相手を試します。提案をし終えたら、最後にこんな一言を付け加えるのです。

「本気でない人にはおすすめできません」
「得られる成果はスゴいですが、それなりの覚悟が必要です」
「やる気がない人は手を挙げないでくださいね」

どれも、「いいかもね~」なんてのんきに聞いていた側からすると「ギョッ」としますよね。でも、ギョッとさせることに意味があるのです。

提案内容が難しいと、聞き手は「内容は良いけど、普段ダラダラ働いている自分たちに本当にできるだろうか」と思います。

これでは、どんなに良い提案でも通らないことがありえます。「まあ、いいか」で終わってしまいます。

■聞き手を試す

そこであえて、聞き手の本気度を試す一言を言ってみるのです。そうすることでプレゼンターが、この難しい提案を本気で考えてきたのだと伝わります。

そして、うまくいくかいかないかが提案側ではなく受け手側に委ねられることになります。もちろん提案した内容が成功した暁にはそれなりの成果が得られることが必要ですが、成功するか失敗するか、その主役が自分になることで、聞き手は研ぎ澄まされます。 

聞き手は、この人はチャラチャラしたことを言う人ではなく何事も本気で取り組む人だなと思ってくれます。そして、自分たちさえ本気になれば結果はついてきそうだという安心感を与えられます。 

ちなみにこの言い回しは、オドオドしながら言ってもまったく意味がありません。自信をみなぎらせた表情で言いましょう。 

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下地寛也(しもじ・かんや)
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント
1969年、神戸市生まれ。2008年から[コクヨの研修]スキルパークを主宰。未来の働き方を研究するワークスタイル研究所の所長、ファニチャー事業部の企画・販促・提案を統括する提案マーケティング部の部長などを経て、現在は経営管理本部にて、コクヨグループの働き方改革や風土改革に取り組んでいる。
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(コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント 下地 寛也 イラストレーション=たかだべあ)

心理学の」ザイオンス効果」とは

会えば会うほど好意を持たれる!?心理学の「ザイオンス効果」を仕事に生かすテクニック

みんなのライフハック@DIME 4/22(月) 17:31配信

心理学の「ザイオンス効果」は、人との接触回数を増やすことにより好感度が上がる効果。これを雑談を中心にビジネスへと役立てることができるといわれる。その詳しい内容を、ビジネス心理学の研修を行う吉田こうじさんに聞いた。

ザイオンス効果とは

心理学のザイオンス効果とは、どんな効果なのか、まずは吉田さんに解説してもらった。

「ザイオンス効果とは、初めのうちは興味がなかったり、苦手だったりしたものでも、何度も見たり、聞いたり、知ったりすることで、次第によい感情が起こるようになってくるという効果のことです。ザイオンスの単純接触効果や、ザイアンス効果などと呼ばれ、1968年にアメリカの心理学者ロバート・B・ザイオンスが論文で発表したものです」

ザイオンス効果で得られる効果とは?

吉田さんによると、ザイオンス効果は次の3つに要約されることが多いという。

1.人は知らない人には攻撃的、冷淡な対応をする
2.人は会えば会うほど好意を持つようになる
3.人は相手の人間的な側面を知ったとき、より強く相手に好意を持つようになる

「私たちの生活の中にすっかりなじんでいるザイオンス効果の代表例としてテレビCMがあります。特に、日用品など、特段のこだわりのない商品について、私たちは知らない商品よりも、テレビCMでよく見かける知っている商品のほうに親近感を覚えます。

また普段、鏡で見ている自分の顔と、写真で見る自分の顔に違和感を覚えた経験はありませんか? 普段、見慣れている顔は、鏡に写った左右反転した状態です。ですが、写真は反転していないので違和感を感じたりします。

あるいは、自分の声を録音して聴いてみると、まるで別人の声のように聞こえて違和感を感じることがありますが、これらも『普段から見慣れたもの』『普段から聞き慣れたもの』を心地よいと感じるザイオンス効果の身近な例と言えます」

このザイオンス効果は、「接触する頻度」が大切になるという。

「『遠くの親戚より近くの他人』とはよく言ったもので、年に一回、長時間会う人よりも、数分程度でもいいので毎日会う人の方に、私たちは好意を抱きやすい傾向があります。また、接触の仕方としては、『おふくろの味』に代表されるように、見たり聴いたりする以外にも、私たちの五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)に訴えるものであればOKです」

一方で、ザイオンス効果は、誤解されがちなことがあるという。

「ただし、ザイオンス効果は『嫌いを好きに変える効果』ではありません。むしろ、嫌われている異性に何度もアタックすると、ストーカーと勘違いされる可能性もあるように、印象が悪い人が接触回数を増やせば増やすほど、悪い印象が強化されてしまいますし、また、接触するタイミングがいつも『相手が忙しいとき』なども、かえって逆効果になるので注意が必要です。

また、ザイオンス効果の実験では、相手に会えば会うほど、相手のことを知れば知るほど、印象の強化が進みますが、接触頻度によって印象が変わる回数には限界があることがわかっています。その回数は10回がピークで、それ以上は接触頻度を上げても印象は変わらないということです」

ザイオンス効果をビジネスに役立てるには?

ザイオンス効果はただ単に接触回数を増やせばいいとは限らないが、ビジネスに有効な手段であることは確か。どう役立てるのがいいのか、吉田さんは次の3つを挙げる。

1.回数を決めて計画的に行動する

「例えば、営業の場面なら、用事がなかったとしても、見込み客のところに足を運び顔を見せたり、メールをしたりことで、印象を高めることに役立ちます。

ただし、顔を見せるたびに、売り込みやお願いをしてばかりだと、悪い印象を強化してしまいます。『お客さまのほうから声がかかるまでは、御用聞きとして挨拶回りに徹してみる。ただし最大10回まで』など、回数を決めて計画的に行動するのがいいでしょう。

また『人間的な一面を見たときに一層強く相手に好意を持つ』ということもわかっているので、仕事以外の『プライベートの意外な一面』を見せることを接触の際には心がけると、より効果的と言えるでしょう」

2.可能な限り無償で提供し続ける

「いくら接触頻度を高めても、『この人と会ってもビジネス上なんのメリットもない』と思われてしまっては、かえって逆効果になります。ですから、単純に回数を増やして顔を覚えてもらうだけでは足りません。

あくまでもビジネスを前提に接触するのですから、『相手が欲しがっている情報を引き出し、可能な限り無償で提供し続け』ましょう。これは、お世話になったらお返しをしたくなるという『返報性の法則』とミックスさせた戦略的な活用方法です。

いますぐにビジネスの結果に結び付かなくても、ザイオンス効果を返報性の法則と併用することで、『これまで色々情報をくれたから、話だけでもきちんと聞いてあげようか』という心理状態に相手を自然に誘導することができるでしょう」

3.初対面で失敗しても粘り強く続ける

「多くの場合、初対面のイメージで、ビジネスパーソンとしての評価の大半が下されてしまいます。これを『初頭効果』と言います。人は、相手の評価を『第一印象で感じたイメージで決めてしまう』のです。

初対面における最初の数秒間のイメージが、『信頼できそうなタイプ』、『胡散臭そうなタイプ』と印象づけられると、そのイメージは、その後も継続されてしまうので、第一印象をよくすることはとても重要です。

しかし、ザイオンス効果を使えば、たとえ初頭効果においてなんらかの理由で好印象を与えることがうまくいかなかったとしても、その失敗した原因をしっかりと分析して誠実に改善しながら、接触頻度を高めていければ、徐々にあなたに対する印象は好転するどころか、むしろ『決して諦めない粘り強い信頼できるビジネスパーソン』として、信頼されることすらあるのです」

ザイオンス効果を「雑談」に活用する方法

ザイオンス効果を「雑談」に取り入れることで、職場や取引先との人間関係をよくすることもできるといわれる。

「人は初対面の相手に対して、『警戒→疑心→親和→信用』というプロセスを経て信頼関係を築きます。ザイオンス効果を活用すると、警戒や疑心の心理状態から、素早く親和の状態へと関係性を移行することができます。警戒とは『こいつは敵ではないのか?』といった恐れの状態。疑心とは『本当にこの人は信頼できるのだろうか、大丈夫なのだろうか』と疑っている状態です。

そして親和とは、この人とは、なんとなく気が合うなと感じ、安心感や親近感を得て、心の扉が少しずつ開いていっている状態です。つまり次のステップに進んでいくには、不安感を取り除き安心感を創り出すことが大切です。ザイオンス効果はそれに役立つのです」

ザイオンス効果を雑談に活用することで、職場や取引先との人間関係を良くするには、具体的にどのようなことを心がけると良いのだろうか? 吉田さんは次の3つを挙げる。

1.御用聞き、愚痴聞き役に徹して信頼関係を構築する

「少しでも時間が空いたら『たまたまこの近くを通ったものですから』と取引先に顔を見せ印象付けします。その際には、雑談しながら御用聞きや愚痴聞きに徹します。

なぜなら、人は自分の話を真剣に聴いてもらっているとき、美味しいご飯を食べたのと同じくらいドーパミンが出るので、真剣に話を聞いてくれる人の存在はお客様にとって最高の快楽なのです。あなたが、雑談の際に興味関心を持ちながら聞き役に徹し、相手の話を真剣に聞いてあげるだけで、相手に『あなたと会うこと=快楽』という心象を刷り込むことができます」

●スリーセット理論

「人は出会って1回目で第一印象が決まり、2回目で第一印象が再確認され、3回目で今後の関係を最終決定し、それ以降は固定化されるという『スリーセット理論』という考え方があります。

ザイオンス効果によって接触を増やしたとしても、1回目で相手に売り込みをして悪印象を持たれてしまうと、相手と2回目以降の接触では警戒の印象を強化する可能性が高く、接触頻度を増やすことが裏目に働きます。そこで、まずは3回目の接触までは、徹底的に聞き役を演じることを意識するのです。

『この人なら強引に売り込んできたり、面倒なことを言ってきたりはしないから大丈夫』という印象を相手の心理に固定化することができれば、それは親和以上の関係性が構築されたと言ってもいいでしょうし、その頃には『あなたともっと話したい』と思ってもらえるようになっていることでしょう。

そこまでの関係性が築けていたら、営業もスムーズにできるはずです。なおこれは、お取引先のみならず、社内で決裁権限を持っている上司に対しても同じことが言えます」

2.苦手な人を克服する

「ザイオンス効果は、何も相手に影響を与えるだけではありません。あなたが苦手としている人に対する苦手意識の克服にも役立ちます。例えば、同じ会社の人と、いつも同じ時間に休憩スペースで会うとします。そのときに、笑顔で『お疲れさまです。

今日は天気が良くて気持ちが良いですね』などのちょっとした会話をしているだけでも、相手に好印象を持ってもらいやすくなるばかりか、あなた自身がその人に持っている苦手意識を薄めることができるのです。

こうしたことを繰り返しているうちに、ある日、たまたまその人と会わない日があったとき、『あれ?今日はどうしたのかな?』と苦手どころか、むしろ少し気になる存在に変わっていることに気が付くかも知れません。

『苦手だな』という自分の感情を一旦脇に置いておいておくことにはちょっと勇気が要りますが、まずは10回を目標に笑顔で元気に挨拶を継続するなど、苦手な人との接触回数を意識的に増やしてみましょう」

3.雑談に一貫性を持たせる

「せっかく接触頻度を増やしても、毎回、行き当たりばったりの話題で雑談が終わってしまうのは、とてももったいないことです。ぜひ、最初の雑談は『次の雑談のネタ作りのため』といったマインドセットをしてから雑談を始めましょう。

例えば、『そうそう、この前お話ししていた飼い猫の○○ちゃんの具合はどうなりましたか?』と、前回の雑談を継続するということは、『あなたのことを大切に考えてますよ』という重要なメッセージを相手に伝えることになります。実際、僕の研修に参加いただいた受講生の人と雑談した後に、『先日、勧めていただいた本を読みました。

早速、営業に実践してます』などのメールをいただくのは、やはりトップセールスの方です。こんなふうに、雑談を点ではなく、線そして面に活かすことで、ザイオンス効果はより活きることでしょう」

ザイオンス効果は営業先や取引先だけでなく、職場の人間関係改善にも役立つ可能性があることが分かった。ぜひビジネスで人と関わるすべてのシーンに活用してみよう。

【取材協力】

吉田こうじさん

仙台を拠点に、ビジネスと心理学を融合させたモチベーティブで実践的な研修が人気。また、海外やプロアスリートなどクライアントの予約待ちのメンタルトレーナーとして、AI(人工知能)には決して真似のできない「心の悩み」「自分らしく幸せに生きる」分野で精力的に活動中。著書「上司が熱く語るほど部下がドン引きするワケ」

https://www.nlp-breakstate.net/

取材・文/石原亜香利

全ての企業に絶対不可欠な営業の仕事

我々の周りには様々な企業が存在しています。例えば製品を作っている製造業や、製品や商品を市場に流通、或いは市場で販売している流通業や販売業があります。また、必ずしも目に見える有形の製品や商品を提供しているとは限りません。

無形のサービス業などたくさんあります。...
どのような事業を行う企業であっても基本的な活動はそれほど変わりません。企業が有する経営資源を投入し、商品やサービスを産み出し市場へと供給しています。これを企業の経営活動と言います。

経営資源とは、一般的に人(ヒト)物(モノ)金(カネ)情報(ジョウホウ)を指し、経営活動の源泉となる物です、企業はこれらの経営資源を組み合わせたりしながら、商品やサービスを産み出します。

その産み出された商品やサービスを市場へ供給する。この市場に供給する役割を担うのが営業の仕事なのです。

企業は永続的に発展する事を前提としています。良い商品やサービスを生み出している企業が潰れてしまう。これは、顧客にとっても社会にとっても大きな損失です。

一方、企業が永続的に発展する為には、安定的な収益を確保する事が必要となります。どんなに良い製品やサービスを生み出す事が出来ても、それが市場に供給されなければ、企業は存続する事が出来ません。

企業は商品やサービスを市場へ供給する事を通じて得た収益を、さらに経営資源に投資する事で、継続的に新たな商品やサービスを産み出します。製造業であれば、更なる設備投資を行う事により、良い商品を作り出す事や大量生産を可能にしたりします。

販売業であれば販売拠点を増加してより多くの顧客に商品を届けたり、販売員を増やしてより細かなサービスを行う事が可能になる体制を作ったりします。

このように、経営活動はサイクルで表す事が出来ます。そして、企業にとってはいわば生命線となる収益を産み出すプロセスを担うのが営業なのです。

営業パーソンの存在なくして、企業の永続的な発展はありません。これはどの企業でも同じ事が言えますし、時代に影響されるものでもありません。むしろ今日のように顧客ニーズが多様化し、さまざまな商品やサービスがあふれる時代においては、今迄以上に営業パーソンの持つ役割は重要なものとなっています。

あなたに知らせたいニュース

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50歳になると、嫌でも自分の老後を意識せざるをえなくなります。最近も「2000万円不足問題」が炎上したように、老後の生活に必要なお金をどのくらい準備すればいいのかについて、多くの人が関心を寄せています。老後資金の計画を立てるためには、公的年金がいくらもらえるのかを知っておく必要があります。

 でも、これがちょっと驚きなのですが、年金生活になっても、自分の収入はそれほど減らないと思っている人が、ときどきいます。

 「たくさん給料をもらって、たくさん年金保険料を払っているから、いまの給料と同じくらいの年金はもらえるはず」ということなのですが、それは大きな間違いです。現役時代の給料と同額の年金が出る制度など、ありえません。

 年金の受給額がいくらになるのかは、国がモデルケースを示しています。「夫は年収が平均500万円程度の会社員で40年間厚生年金保険料を納めていて、妻は40年間専業主婦」という条件を満たした場合、年金の受給額は月22万円程度です。

 実は、この「モデルケース」というのが曲者です。よく考えてみてください。いまの時代、妻が40年間も専業主婦であり続けられる家庭ってあるでしょうか。要するに、モデルケースが浮世離れしている恐れがあるのです。

 先の3人の同期のケースでは、結婚年齢と妻の年齢で年金額が異なりましたが、それだけでなく、世帯ごとの働き方、家族構成によって年金額は大きく違ってくるのです。

 「こういう人って多いだろうな~」と思うのが、雑誌や本を読んで、自分が定年後に受け取る年金はこのくらいと思い込んでいて、現実に直面したとき、あまりの少なさに呆然自失するケースです。

 私もときどき寄稿したり、インタビューを受けたりしているので、何とも心苦しいのですが、雑誌などはスペースの関係もあって、一人ひとりの事例を事細かに分けて書くわけにもいかず、どうしてもモデルケースですべてを語ってしまいがちです。

 だから、雑誌や本に書かれている数字を鵜呑みにするわけにはいきません。あなたが定年になったとき、いくら受け取れるのかを自身で把握する必要があります。

■自分の年金額を知るためには

自分の年金額を知るために何を見ればいいのかというと、毎年、誕生月に日本年金機構から郵送されてくる「ねんきん定期便」です。あなたが65歳になったとき、「老齢基礎年金」がいくらで、「老齢厚生年金」がいくらになるのかが記載されています。

 その合計金額を12で割れば、1カ月の年金受給額になります。例えば、老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計が200万円なら、これを12で割ると、1カ月の年金受給額は16万6666円になります。

 公的年金は、老後の生活を支える柱になります。50歳になったら自分が65歳以降、どのくらいの公的年金が受け取れるのかを把握しておくことが、定年後のクオリティー・オブ・ライフを高めるきっかけにつながるはずです。

 いまでは希少価値に近いモデルケースの年金額なんて信じないで、「ねんきん定期便」には必ず目を通して、自分の受け取れる年金額を把握したうえで、老後の資金計画をしっかり練りましょう。

 今回は、男性の視点から年金の話をしましたが、次回は、夫と離婚した妻の年金はどうなる?  死別したときは? など、女性の視点から、得する年金、損する年金の話をしたいと思います。

山中 伸枝 :ファイナンシャルプランナー(CFP®)

あなたに知らせたいニュース

「同期入社で同じ年収」なのに年金額が違う理由
7/23(火) 5:40配信 東洋経済ONLINE 1,

ある週末、新橋の居酒屋で男性3人が集まり同期会を行いました。3人とも50歳になったばかり。そろそろ老後のことも意識し始めました。
「俺たち、年金っていくらもらえるんだろうな」
同期入社で勤務年数は28年、収入も大差のない3人ですから、誰とはなしに「受け取れる年金の額だって、そんなに変わんないんじゃないの」ということになり、そのまま乾杯となりました。
でも、ほぼ同じような人生を歩んできたように見える3人ですが、実は、あることが原因で受け取れる年金の額に大きな差がつくのです。

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そのカギを握っているのは「妻」。3人とも結婚をしていて、妻は専業主婦というところまでは同じなのですが、大きく違う点がありました。それは「妻の年齢」です。
妻の年齢で年金額に差がつくことを知っている人がどれだけいるでしょうか?  50歳を過ぎたら人ならきっと気になる話を、『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』を出版した人気ファイナンシャルプランナーの山中伸枝氏が解説します。

■晩婚、年の差婚は年金額が増える

 一応、3人の名前をAさん、Bさん、Cさんということにして、それぞれの家族構成を紹介しておきます。

Aさん=結婚25年。妻53歳、子ども2人で22歳と20歳
Bさん=結婚20年。妻50歳、子ども2人で17歳と14歳
Cさん=結婚2年。妻35歳、子どもなし
 目を引くのはCさんでしょう。

 結婚して2年。妻は15歳下ですから、晩婚かつ年の差婚という、ちょっと芸能人っぽいケース。一部の男性からは、ちょっとうらやまし気な声が聞こえてきそうです。

 AさんとBさんは、オーソドックスなケースですが、恐らくAさんが結婚した25年前は、年上の女性と結婚するのがまだ珍しかった時代だったかもしれません。

 それはさておき……。

 実際のところ、受け取れる年金にはどのくらいの差が生じてくるのでしょうか。3人とも、20歳から国民年金に、就職と同時に厚生年金に加入し、加入期間中の平均年収が600万円という前提で、65歳から90歳までの25年間に受け取れる老齢厚生年金の金額を計算してみました。

Aさん=5075万2500円
Bさん=5075万2500円
Cさん=5660万4000円
 なぜCさんだけが600万円近くも、受け取れる年金の額が多いのでしょうか。「若い奥様なうえに、さらに年金の額がこんなに多いなんて許せん」という恨めし気な声も聞こえてきそうです。これ、別にCさんがズルをしているわけではなくて、年金の制度設計がそうなっているからなのです。

 ポイントは2つあります。1つは妻が専業主婦であること。もう1つは年の差婚であることです。

 Cさんが、AさんやBさんに比べて年金の額が多くなったのは、「加給年金」を受給できるからです。この分が年間39万0100円あり、それを妻が65歳になるまで受け取ることができます。

 したがって、Cさんが65歳から老齢厚生年金を受給するとしたら、その時点での妻の年齢は50歳ですから、Cさんが80歳になるまでの15年間、加給年金を受け取れるのです。15年間の合計額は585万1500円になりますから、この分がAさんやBさんよりも年金の受取額が多いカラクリになります。

 もちろん加給年金は誰もが受け取れるものではありません。事実、3人のケースでもAさんとBさんは、加給年金の対象外でした。

 ちなみにAさんとBさんの場合は、それぞれが65歳になったとき、Aさんの妻は68歳、Bさんの妻は65歳なので、両者とも年齢によって加給年金の受給資格が失われています。

 また所得要件も問われます。例えば、妻の年間の収入が850万円未満で、所得が655万5000円未満でなければ加給年金は受け取れません。妻がこれらの条件を満たしたとき、加給年金が受け取れるのです。

 なお、子どもも加給年金の対象になりますが、年齢が18歳に達する年度の末日までしか加給年金は受け取れません。AさんとBさんには子どもがいますが、両人が65歳になったときには、すでに子どもは年齢的に加給年金の対象ではなくなっています。

■妻が同い年、年上でも年金額を700万円増やせる! 

 ところでAさんとBさんからすれば、加給年金は厚生年金の制度設計によるものであることは百も承知ですが、それでも15歳年下の妻と加給年金をともに手にできるCさんのことがうらやましくてしょうがない様子。

そこで1つだけ、逆転ホームランになる方法を伝授させていただきます。それは、国民年金と厚生年金を繰下げ受給するという方法です。

 AさんとBさんは65歳から国民年金と厚生年金を受給できるわけですが、その年齢を70歳まで繰り下げた場合、それぞれの年金額が42%増額されます。したがって、90歳までの20年間に受け取れる年金の額は5765万4840円と、65歳から受給した場合に比べて690万2340円も増えて、Cさんが加給年金を上乗せして受給した場合の額を上回ります。

 「おお~」と思われた方も、ひょっとしたらいらっしゃったかもしれませんが、ちょっと考えれば、「Cさんも繰下げ受給を選んだらどうなるの?」という鋭い突っ込みを入れたくなりますよね。

 そうなのです。もしCさんが国民年金と厚生年金を繰下げ受給した場合、Aさん、Bさんと同額の690万2340円増えます。

 やっぱりそうかと、肩を落とす人もいそうですが、Cさんが繰下げをすることにより厚生年金を受け取らない場合、妻の加給年金を受け取れません。したがって、Cさんの妻が受け取る加給年金は70歳からの10年分の390万1000円と、200万円近く減ってしまいます。

 Cさんは、65歳からの加給年金を優先するために、国民年金だけを繰下げるという方法も考えられます。

 国民年金の受給額は65歳から受給した場合の78万0100円から、110万7742円に増えるため、厚生年金と加給年金は65歳から、国民年金を70歳からと時間差で受給すると、90歳までに受け取れる公的年金の総額は5925万6340円と265万2340円増額します。これは5歳程度の年の差婚の方なら、考えるべきオプションです。

 しかし、Cさんのように15歳も年の差がある場合、国民年金と同時に厚生年金を繰下げたとしても加給年金が70歳から10年間がありますから、結果総額6155万5840円と、ダントツで受け取れます。

 う~ん、日本の年金制度は、年の差婚の若い妻に優しいようです。

 なお加給年金は、その対象である配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や障害年金を受給する場合は支給されない点に注意してください。

■モデルケースみたいな夫婦はほとんどいない! 

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横断歩道の白線を跨げない人は要注意! 4年間の追跡調査でわかった「歩幅と認知症」の意外な関係7/23(火) 5:30配信文春ONLINE

「歩幅が狭い人ほど認知症になりやすい」。そんな研究結果があるのをご存知だったでしょうか。歩き方と認知症に関係があるなんて、ちょっとびっくりですよね。

 この事実を明らかにしたのは、東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員(2019年より国立環境研究所主任研究員)の谷口優さんの研究チームです。この6月、谷口さんは『 たった5センチ歩幅を広げるだけで「元気に長生き」できる! 』(サンマーク出版)という本を出版しました。

歩幅の狭い人は3倍以上も認知機能が低下していた
 谷口さんの研究チームは、群馬県と新潟県に住む65歳以上の方1000人以上を対象とした調査を行いました。ひとりひとりの歩幅を調べ、歩幅の「狭い人」「普通の人」「広い人」の3つのグループに分け、最長4年間にわたり追跡調査をしたのです。

 その結果、歩幅の狭い人は、広い人に比べ、なんと3倍以上(3.39倍)も認知機能が低下していました。また、その傾向はどの年齢においても変わらず、70代でも、80代でも、90代でも、歩幅が狭い状態で年を重ねている人ほど、認知症のリスクが高いことがわかったのです。

歩調の速さは関係ない
 なお、このデータは年齢・性別・身長や、病気などの影響も加味されて補正されているので、身長が低い人や女性にも等しく当てはまります。また、歩く速さは「歩幅(1歩の大きさ)」と「歩調(地面を踏むテンポ)」の掛け算で決まりますが、歩調は認知機能低下とは因果関係がないことも研究でわかったそうです。

 つまり、歩くテンポが以前と変わらなかったとしても、歩幅が狭ければ認知症のリスクがあるということです。最近、高齢の親などの様子を見て、「歩幅が狭くなった」あるいは「歩くのが遅くなった」と感じたら、要注意かもしれません。

どれくらいの歩幅だと「危ない」のか?
 それにしても、なぜ歩幅と認知症に関係があるのでしょうか。それは脳の運動に関連する部分の萎縮や、加齢にともなって起こる症状の出ない微小な脳梗塞などが、認知機能に障害が出る前に、運動に影響を与えているからだと考えられています。つまり、脳の機能の衰えは、認知機能より先に、「足(脚)」に現れるのです。

 では、歩幅がどれくらい狭くなったら「危ない」と言えるのでしょうか。谷口さんによると、その目安は「65㎝」。歩幅は一方の足のかかとから、もう一方の足のかかとまでの距離で測るので、横断歩道の白線(約45㎝)を踏まずに歩いて越えられれば、45㎝+足の大きさ(20㎝+α)となり、65㎝以上の歩幅があると考えていいそうです。

 逆に、横断歩道の白線を踏んでしまう人は、認知症リスクがあるということです。歩幅の狭くなった人が、認知症を予防するにはどうすればいいでしょうか。谷口さんは「今より5㎝、できる人は10㎝歩幅を広げて歩くよう意識してほしい」と言います。

「狭くなった」と感じてから予防しても遅くはない
「歩幅をちょっと広げるだけで、認知症予防になるのか」と思う人も、いるかもしれません。ですが、歩幅を広げれば姿勢がよくなり、目線が上向きになります。腕もしっかり振れて、つま先も上を向くようになります。

 これによって、すね、ふくらはぎ、太もも、腰、お腹など全身の筋肉がより活発に動き、全身の血液の流れがよくなります。また、姿勢がよくなることで、肺が広がって酸素をより取り込めるようになります。さらに、意識して歩幅を広くすることで、「足と脳との間で活発に情報のやり取りがされ、脳が活性化する」と谷口さんは言います。

 実際、これまでの研究でも、運動習慣のある人ほど認知症リスクが低く、運動によって認知機能低下が防げる可能性があるという結果も出ています。意識して歩幅を広げて歩くようにすれば、汗ばむ程度の程よい運動になるはず。「歩幅が狭くなった」と感じてからでも、認知症を予防するのに遅くはないのです。

とはいえ、歩きすぎはかえって逆効果
 また、足腰が衰えると、高齢者では転倒のリスクが高まります。転倒すると大腿骨などを骨折して、それをきっかけに寝たきりになる人も少なくありません。厚生労働省の調査でも、要介護の要因の1位が認知症(18.0%)、2位が脳血管疾患(16.6%)、3位が高齢による衰弱(13.3%)、4位が骨折・転倒(12.1%)となっています(平成28年「国民生活基礎調査」)。

 多くの人が100歳まで生きるかもしれない超長寿化社会を迎え、医療や介護のお世話にならず自立して暮らせる期間である「健康寿命」を延ばすことはとても大切です。そのためにも認知症だけでなく、うつ病、心疾患、脳卒中、がん、高血圧、糖尿病などの予防にもなるとされる「1日8000歩」を目標に、歩幅を意識して歩く習慣をつけてみてはいかがでしょうか(青栁幸利著『 あらゆる病気は歩くだけで治る! 』SB新書などを参照)。

 なお、歩きすぎると免疫力が低下して、かえって逆効果になると言われています。また、ひざや股関節などが悪い人も、無理して歩き過ぎると症状が悪化する場合があります。筋力が弱っている人は無理な歩行でかえって転倒するリスクもありますので、主治医などと相談しながら、無理のない範囲で行ってみてください。

鳥集 徹

あなたに知らせたいニュース

2000万円発言の裏にある公務員共済破たんの救済措置 急務は金融庁の赤字体質改善
7/23(火) 14:00配信 マネーの達人

あなたに金遣いのアラい親戚がいたとします。

家計の収支は万年赤字体質。

自分ひとりでの家計維持はムリにということになって、いつのまにか連帯保証人となっていたあなたが、これからは一緒に、その親戚の赤字の穴埋めを手助けすることに。

この金遣いのアラい親戚は、あなたに感謝のコトバをおくるわけでもなく、「あなたの老後の生活費は足りなくなるよ」と、あなたに忠告してきたら?

たとえるなら、今回は、こんなお話になります。

公的年金の年間収支からわかること
公的年金は、毎年の年間収支が公表されています。

厚生労働省のサイトに、「公的年金各制度の財政収支状況」というページがあり、いつでも閲覧できます。

平成29年分が最新データとなっています。

厚生年金部分を見ると、国家公務員共済と地方公務員共済の赤字分を、もともとの厚生年金が穴埋めするカタチとなっているのがわかります。

■平成27年の不自然すぎる偶然

平成28年分、平成27年分も事情は同じです。

公的年金の年間財政収支が、このような状態となったのは平成27年10月からです。

平成27年10月には、公的年金の制度統合、公的年金の一元化が行われました。

が、実態は事実上破たんした国家公務員共済と地方公務員共済の救済策だったことがわかります。

平成27年10月と言えば、マイナンバー導入。

郵便トラブルにまつわるニュースを中心に、世間の注目は、完全にマイナンバーに集中していました。

このスケジュールが、偶然とは思えません。

共済年金が事実上破たんしたワケ
共済年金については、詳細が明らかとなっていません。

厚生年金については、社会保険労務士試験の出題科目となっていることもあって、多種多様な解説本が世に出まわっています。

が、共済年金に関しては事情は全く違い、現在もナゾの部分が多いです。

■公務員は全員もらえる「年金の3階部分」

ほぼ確かな情報をまとめると、下記のようになります。

共済年金には「職域加算」といわれる給付があります。

民間サラリーマンで言う以前の厚生年金基金、今で言う、企業年金部分に相当します。

基礎年金の1階、厚生年金の2階と合わせて、年金の3階部分と呼ばれたりします。

サラリーマンの場合、3階建て部分の給付を受けられるのは、それだけ余裕のある会社に勤務していた人だけに限られます。

が、公務員共済の場合、この3階部分は公務員全員にモレなくついてきます。

しかも、給付の半分は税金です。

■「事実上の破たん」は必然

厚生年金基金の場合、財政難で破たんしたケースも少なくありません。

共済年金の被保険者が特に多くの保険料を負担してきたわけでもなく、民間サラリーマンと同等か、むしろ少ない程度だったとも言われています。

少ない負担で多くの給付。

しかも、被保険者数と年金受給者数のアンバランス。

「事実上の破たん」は、当然のお話です。

「金遣いのアラい親戚」はまず赤字体質の改善を
冒頭の「金遣いのアラい親戚」とは、誰(あるいは複数)のことか、ご理解いただけたかと思います。

大臣に諮問されてもいない報告書で、国民に対して「老後に2,000万円足りなくなる」などと言っているヒマがあれば、

「赤字体質の変わらない自分たちの年金を何とかしろ」
ということです。

旧共済年金への「持ち出し」がなければ、もともとの厚生年金の給付も、少しはマシになるハズですから。(執筆者:金子 幸嗣 / 社会保険労務士)

あなたに知らせたいニュース

諸悪の根源は97年…消費税3%のままなら今ごろGDPは852兆円に
7/23(火) 9:26配信 日刊現代DIGITAL

【消費税廃止でニッポン復活】#1

 れいわ新選組は比例で「2」議席を獲得、彼らが掲げた消費税廃止の議論は今後も検証が進みそうだ。そもそも、“失われた20年”と呼ばれる日本経済の沈没は、1997年に消費税を5%に引き上げたところから始まっている。

  ◇  ◇  ◇

 国民の半数以上が10月の消費税10%に反対しているが、「将来にツケを残さない」などの理由で、増税やむなしの流れになっている。財務省のプロパガンダである「国の借金1000兆円」も効果的にきいている。

 だが、れいわを代表するように、消費税の廃止、もしくは引き下げを主張している人たちの発想は、全く違う。

 消費税10%論者は「今あるお金でのやりくり」でしかモノが考えられないが、彼らは新田を開墾して増収を狙うという考え方だ。損して得とれで、未来志向の考え方と言ってもいい。

 京都大学大学院の藤井聡教授(公共政策)が月刊誌「世界」に興味深い記事を寄稿している。

 増税肯定論の多くは、2%くらいの増税なら大した問題にならないだろうと楽観しているが、日本がデフレに陥ったのは97年4月に橋本内閣が消費税を3%から5%に引き上げたところから始まっている。藤井教授によると、「97年の増税によって消費は一気に冷え込み、そこから伸びなくなった」という。

この97年の直前3カ年の日本のGDP平均成長率は2.2%。バブル崩壊後の後遺症にあえいではいたが、今よりよっぽどマシな状況だったことが分かる。仮にその2.2%成長が続いていれば、18年時点の日本のGDPは852兆円に達していたという。今回の自民党の選挙公約「600兆円の実現を目指す」が恥ずかしくなる金額だ。

 2.2%成長自体が楽観的すぎると反論する人に説明すると、95年から20年間のOECD(経済協力開発機構)の平均成長率は約4.6%。2.2%はむしろ控えめな前提と言っていい。

実際、97年からの20年で米国の名目GDPは97年比で218%、英国は205%に伸びている。日本は88%に下がっているが、もし、ごく平均的に成長し、GDPが852兆円になっていたなら、150%ほどになっていた計算だ。

 そして、GDPが成長していれば、2018年度の税収は90兆円を超え、今より35兆円も多くなっていた。藤井教授の推計では97年からの累計では総計約600兆円も税収が増えていたという。同教授は「日本の財政を破壊したのは、他ならぬ消費税増税だった」と結論付けている。何も難しいことではない。今からでも消費税を引き下げて消費の拡大を狙った方が賢明だ。

法人税で財源は確保できる
 経済アナリストの菊池英博氏(日本金融財政研究所所長)が補足する。

「消費税導入の89年から14年までの消費税収の累計は282兆円でしたが、この間の法人税の減収は、その90%に当たる255兆円もあり、ほぼ相殺されています。『受取配当金の益金不算入』『租税特別措置による政策減税』などの法人税減税の恩恵であり、法人税をまともな税制に戻すだけで消費減税の財源は確保できます。17年の企業の内部留保は446兆円。過去5年で146兆円も増えているのです」

 OECDは19年の日本の実質GDP成長率を1.0%に予想していたが、消費増税による悪影響から0.2ポイント下げて0.8%(世界平均は3.5%)にした。増税ならまた景気が悪化する。

あなたに知らせたいニュース

年金財政検証、8月公表で調整=社会保障改革「痛み」焦点
7/23(火) 7:12配信 JIJI.COM

政府は、参院選でずれ込んでいた公的年金の健全性をチェックする「財政検証」を、8月下旬にも公表する調整に入った。

 秋の臨時国会は、検証結果を踏まえた制度の在り方や老後生活をめぐる論戦が注目されそうだ。秋以降には、膨張する社会保障費への対応策も議論が始まる見通し。ただ、高齢者の負担増など「痛み」を伴う改革には与野党とも及び腰だ。

 財政検証は5年に1度行われ、物価や人口推計を基に100年先までの給付水準を試算する。前回は2014年6月3日の公表だった。厚生労働省幹部は「まだ完全にまとまっていない」と話しており、詰めの作業が続いている。

 今回の検証では「オプション試算」として、短時間労働者らの厚生年金加入拡大や、働く高齢者への年金減額措置見直しなどの影響も想定する。安倍晋三首相は22日の記者会見で「70歳までの就業機会を確保する。年金の受給開始時期を遅らせ、月々の年金額を増やすことができる選択肢を拡大する」と表明した。

 政府は来年の通常国会に提出する関連法改正案にもこうした制度改正を反映。少子高齢化の中でも「担い手」を増やして年金財源を確保する考えだ。

 人口減少を踏まえ、物価や賃金が上昇しても年金給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」については、将来世代の年金額を確保するため、デフレ下でも発動できるよう見直しを求める意見が政府内にある。これに対し野党の一部は参院選で廃止を主張。国会論戦でもテーマに上りそうだ。

 一方、10月の消費税増税がほぼ確定したことを受け、社会保障の「給付と負担」の見直しに向けた新たな議論を模索する動きも出ている。

 「団塊の世代」が75歳以上に入ることで、社会保障費のさらなる急増が予想されるためだ。政府は20年度の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で、医療・介護を含む改革案を取りまとめる方針。後期高齢者の医療費自己負担の引き上げや介護メニューの見直しなどが浮上している。

 ただ首相は選挙戦で、さらなる消費増税は「今後10年必要ない」と発言。年末や来年冒頭の衆院解散の見方もくすぶる中、政府内では「負担増につながる改革の機運は薄れた」「心理的な影響は小さくない」(財務・厚労両省幹部)との指摘が相次いでおり、負担増に向けた本格的な議論の見通しは不透明だ。

あなたに知らせたいニュース

山本太郎、れいわ…左派ポピュリズムの衝撃とどう向き合うか?
石戸諭記者 / ノンフィクションライター

日本政治に左派ポピュリズム政党が誕生した。7月21日の参院選は日本においても、欧州で吹き荒れるポピュリズムの風が吹くという結果になった。山本太郎、「れいわ新選組」である。比例での得票率は4・6%に達し、既成野党への不満の受け皿となり、政党要件を満たした。大事な点は彼らの主張は、欧米の左派ポピュリズムそのものということだ。

れいわの衝撃
 7月4日の新宿駅西口地下から、「旋風」が起きそうな予感は漂っていた。ニューズウィーク日本版の取材で訪れた私は、予想以上の熱量だったとメモを取っている。山本太郎は参加者の前で声を張り上げる。

 「いまの政治はみなさんへの裏切りだ。20年以上続くデフレ、異常ですよ。物価が下がり続け、消費が失われ、投資が失われ、需要が失われ続け、国が衰退している。デフレを続けてきたのは自民党の経済政策の誤りの連続でしょ」

「生活が苦しいのは、あなたのせいにされていませんか?努力が足りなかったからじゃないか?違いますよ。間違った経済政策のせいですよ。消費税は増税じゃない、腰が引けた野党が言う凍結でもない。減税、ゼロしかないじゃないですか」

「ないところから税金をとるな。金持ちから取れ。誰もが自信を持てない世の中になっている。自分が生きていていいのかと思ってしまうのはどうしてですか?あなたには力がある。諦める前に、チャンスをください」

 そして、彼は何度も「選挙はおもしろくないといけない」と繰り返した。難病患者が国会に行くというストーリー、沖縄の創価学会員が東京で公明党代表に挑戦するというストーリーも「おもしろく」演出することに長けていた。

 全国各地を周り、他の野党候補も積極的に応援しながら、自身への票を掘り起こした。朝日新聞の出口調査によると、応援先の野党支持層から一定数が「れいわ」に流れていることがわかる。

 盛り上がりは7月19日の新橋、7月20日の新宿で最高潮に達したといっていいだろう。ミュージシャンや著名人が応援に駆けつけた。結果的に、与党支持層は切り崩せなかったが、野党の不満はすくい上げた。

上と下の対決
 ポイントは最初から最後まで、安倍政権、そして野党の緊縮財政志向を徹底的に批判することに多くの時間を割いたことだろう。デフレを糾弾し、「上」から金を取り、「下」にもっとよこせと訴える。そして、「あなた」に呼びかけ自己責任は無いと言い切る。元俳優、バラエティでも活躍したタレントになって演説のスタイルも巧みだった。

 時に明確な批判対象を設定し、言葉には他の政治家にはない「本音」―と受け取れるような言葉-を盛り込む。先に参照した出口調査によると、40代以下を主要な支持層として取り付けたという。個別の政策はともかく、権威に立ち向かう姿を応援したいという層もいたことは間違いない。

 山本の政策は徹底的な反緊縮と減税である。平たく言えば、デフレ脱却のために、消費税を廃止し、国はもっとお金をかけて財政出動せよというものだ。彼の著作などによると、金融緩和にも肯定的な左派系の経済学者として有名な松尾匡・立命館大教授に学んだことが転機になっている。

欧州の左派ポピュリズム政党
 一連の主張やスタイルは数年前から欧州を席巻している左派ポピュリズムのそれである。政治学者の吉田徹・北海道大教授は「欧州で台頭する左右ポピュリズムを分かつもの」(週刊エコノミスト、2017年2月7日号)でこのように分析している。

 「左派ポピュリズムおいては財政主権や再分配、右派ポピュリズムにおいては国民主権や反グローバル化が唱えられる。こうした主張は、08年のリーマン・ショックと続く10年のユーロ危機を経て、既成政党批判と反緊縮財政、金融・財政主権の回復、場合によってはユーロ圏からの離脱という政策・言説でもって、両極ポピュリズムは共通の立場をとることになる。このような政治的主張は、格差や貧困の進展、労働市場からはじかれ、没落の恐怖におびえる高齢者や中間層、高い失業率にあえぐ若年労働者層の支持を集めることになる」

 「左派ポピュリズムと右派ポピュリズムを分け隔てる最大の違いは、個人やマイノリティーの自己決定権を認めた上で『開かれた社会』を認めるか、反対に家父長主義的で権威主義的、伝統的な共同体や家族が個人よりも優先されるような『閉じられた社会』が実現されるべきと考えるかどうかにある」

 要するに左派ポピュリズムには経済的な格差への不満を吸収するだけでなく、価値観を体現する政党という性格がある。「れいわ」が難病患者を優先的に当選させたことは、まさにマイノリティーの自己決定権を認めるという価値観を体現するものと言える。

問われているのは野党
 日本において左派ポピュリズム政党が誕生した背景は、欧州のそれと同じものだろう。問題を突きつけられているのは、既存のリベラル系の野党だ。立憲民主党は議席数を伸ばしたとはいえ、政権交代の選択肢とはおよそ言えない。比例で当選したのも労働組合系の候補者が上位を占め、都市部の選挙区を含め注目を集めた目玉候補は軒並み落選した。共産党は支持層の一部が「れいわ」に流れている。これがなぜかを分析しないと、与党支持層、投票に行っていない人たちからの票の掘り起こしにもつながらない。

 山本自身は落選したが、私がニューズウィーク日本版で予想した通り、次の衆院選への出馬を宣言した。一度吹いたポピュリズムの風は当分、止みそうもない。

あなたに知らせたいニュース

選挙が終わって改めて考える「日本を変える」ためのたった一つの方法
山田順作家、ジャーナリスト、出版プロデューサー

史上2番目に低い投票率48.80%を記録した参議院選挙が終わった。この「超」がつく低投票率は予想されていたものの、さすがに50%を切ると衝撃である。なにしろ、半分以上の人が選挙に行かない。つまり、半分以下の人の意向で日本という国が動くことになるからだ。

 ここまで、投票率を下げたのは、やはり若い世代である。18~19歳世代、20~29歳世代は40%を切り、30~39歳世代も40%台がやっと。つまり、若い世代はほぼ3人に1人しか投票に行っていない。

 そのため、毎回のように若者批判が起こる。「若者は選挙に行け」と、いう苦言オヤジが登場する。しかし、若者たちに言わせると、「入れたい人がいない」「行ったところでなにも変わらない」となる。この無関心が毎回繰り返されるのが、日本の選挙ではないだろうか。

 今回、若者の無関心に挑戦するように、『若者よ、選挙に行くな』と題した動画が話題になった。しかし、話題になっただけで終わった。

 若い世代を批判するのは簡単だ。しかし、彼らが言う「行ったところでなにも変わらない」は事実である。

 ひろゆき氏が「若者が選挙に行けば政治が変わると言ってる人は全て嘘つき。2~30代の投票率が100%になっても40代以上が40%投票するだけで同数。40代以上の投票率は常に50%近い。これは僕の考えとかじゃなくて単に事実」とツイートしたが、まさにその通りだ。 

 高齢社会になり、構成人口比を見れば、若い世代は高齢世代に人口でかなわない。よって、いまの若者は、無関心というより、経済的には極めて合理的な行動をしていることになる。しかし、この合理的な行動が、この国をダメにしていく。

 今回の選挙は、争点がなかった。なかったというより、メディアが争点を国民に示さなかった。そのためか、与党はアベノミクスも消費税もスルーし、安倍首相は「改憲について議論する政党か、議論しない政党かを選ぶ選挙」と言い続けた。

 世論調査によると、現在、憲法改正は国民の関心事ではない。関心があるのは、やはり日々の暮らしだ。

 ところが、暮らしとなると、与野党ともすべて社会主義政党と化すので、どこを選んでも同じだ。与野党の掲げた政策を、年金対策に絞って比較すると次のようになる。

自民党:「10月から収入の少ない年金生活者に年間最大6万円の福祉給付金を支給する」「低年金者への福祉的な措置として最大月額5000円を支給」

立憲民主党:「安心して医療や介護が受けられるよう年金の最低保障機能を強化」

国民民主党:「低所得の年金生活者に対して最低でも月に5000円を給付」

共産党:「基礎年金額が満額以下の年金生活者に一律で月額5000円を上乗せ」 

 ようするにバラマキ。国民から徴収した税金を、ある一定の層にだけ分配とするという政策である。これ以外にも、最低賃金の引き上げ、教育無償化の促進など、すべて社会主義的政策であり、言葉を換えれば「怠け者保護政策」だ。

 日本のほとんどの政治家がやろうとしているのは、自分の金ではない国民の金を使い、怠け者を大量に増やそうとしていることだ。その「とばっちり」をもっとも受けているのが、若い世代である。とくに、年金などは、若者たちが必死に働いて稼いだ金の一部を、老人たちが奪っているにすぎない。

 年金を充実させ、なんで老人の暮らしを安定させなければならないのか? 2000万円不足のままでいいではないか? なんで、「人生100年」に無理やり引き伸ばしてしまうのか? 長生きは本当にいいことなのか?と問う政治家は、この日本に1人もいない。

 老人が長生きして、死ぬまで楽をして暮らそうとすれば、社会はいずれ立ちいかなくなる。一生懸命働く若者に報いないで、老人を手厚く保護する社会はやがて滅亡するだろう。

 そこで、若者がそんなに選挙に行かないなら、全有権者がやるべきなのが、50歳以上、少なくとも60歳以上の候補者に投票しないことだ。そうしないと、この“老害ニッポン”は変わらない。

 安倍首相もこの9月で65歳になり、高齢者の仲間入りをする。共産党の志位委員長はもっと早く、今月で高齢者の仲間入りだ。

 政党、政策などどうでもいいとは言わない。ただ、それより優先するのが若いこと。政治家は1人でも多く、若い世代にしなければならない。政治家に定年制を導入するのは、年齢差別とされて無理があるので、この方法しかない。

 私はすでに高齢者だが、ここ10数年、候補者のなかでもっとも若い人、それも女性に票を入れている。与野党、無所属、諸派など一切無視してそうしている。

あなたに知らせたいニュース

安易に飲んではダメ!実は怖いロキソニンの副作用
AllAbout 今村 甲彦(医師) 2019/07/22 17:15

2016年3月22日、厚生労働省がロキソニンの「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を追記するよう指示を出しました。
このロキソニンの副作用について、私たち消費者はどう考えればいいのでしょうか? 改めて、人体への影響度や腸閉塞が起こる可能性について解説します。

ロキソニンの副作用とは

ロキソニンは腫れや痛みをやわらげ、熱を下げる効果があり、関節リウマチや変形性関節症、腰痛、歯痛の鎮痛・消炎や急性上気道炎(いわゆる“かぜ”)の解熱・鎮痛などに用いられます。副作用としては、消化性潰瘍や血液異常、肝障害、腎障害、アスピリン喘息などがあります。

この中の血液異常、肝障害、腎障害は、どの薬の副作用にも記載してあるもので、ロキソニン自体に特に多いわけではありません。

アスピリン喘息というのは、ロキソニンに限らずボルタレンやバファリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDS)で起こる可能性がある喘息症状のこと。解熱鎮痛剤に対する過敏症状で、副作用として喘息発作がおこることがあります。

消化性潰瘍は解熱鎮痛剤に多い副作用で、消化管に粘膜障害をきたし潰瘍になることがあります。多いのは胃や十二指腸ですが、小腸や大腸にも起こります。消化管全体を含めた消化性潰瘍は0.05~0.1%未満と報告されています。

なぜロキソニンで腸閉塞が起こるのか?

今回、厚生労働省の指示で「重大な副作用」として追加されたのは、「小腸・大腸の狭窄・閉塞」。簡単に言うと「腸閉塞」です。

メカニズムとしては、そもそも解熱鎮痛剤は消化性潰瘍を起こす危険性があります。潰瘍を形成し、腸が盛り上がったり変形したりすることで、狭窄や閉塞をきたす可能性があると考えられます。

ロキソニンで腸閉塞が起こる可能性は?

厚生労働省は、2012年以降、医療用ロキソニンなどに含まれるロキソプロフェンナトリウム水和物という成分を摂取した5人が腸閉塞になり、因果関係が否定できないとしています。

5人の腸閉塞が多いかというと、そうとも言えません。ロキソニンは医療機関ではもちろん、ドラッグストアでも購入できる薬です。第一三共ヘルスケアの「ロキソニンS」だけでも4年間で3600万個も販売されています。医療機関でも、ロキソニンは処方される薬の上位に入るくらいよく処方されている薬です。

腸閉塞が起こるしくみから考えても、消化性潰瘍から腸閉塞に至る可能性は非常に低いと考えて良いでしょう。厚生労働省も副作用の発生頻度は「まれ」に起こるレベルとしているようです。実際の現場で問題になることが多いのは、消化性潰瘍による腸閉塞よりも、潰瘍出血です。

ちなみに、「重大な副作用」というのはロキソニンだけでも10項目以上あり、頻度が算出できない報告も含まれています。万が一起きると危険なので、医療従事者が知っておくべき知識という項目です。

一般的にロキソニンで注意すべき副作用は、腸閉塞そのものでなく、消化器症状です。

ロキソニンを含む解熱鎮痛薬で注意すべき消化器症状

ロキソニンで腸閉塞になる可能性は低いのですが、ロキソニンを含めた解熱鎮痛剤は消化管の粘膜障害をきたしやすいという特徴があります。副作用として生じる腹痛、胃部不快感、食欲不振、悪心・嘔吐等の消化器症状をきたす確率は2.25%と比較的高値です。

長期に解熱鎮痛剤を使用する場合は、消化管の粘膜障害から消化性潰瘍をきたす可能性があるので、胃薬を内服するなどの対応を考えねばなりません。

ちなみに、ロキソニンは解熱鎮痛剤の副作用である胃腸障害を軽減するためにプロドラッグ化された薬であり、解熱鎮痛剤の中で特に消化器症状が強い薬というわけではありません。
注意しておくべきことは、どの薬にも多かれ少なかれ副作用が存在するという点です。薬を飲む際には漠然と飲むのは避け、医師や薬剤師に相談して飲むようにした方が良いでしょう。

あなたに知らせたいニュース

DeNAが電力ビジネス本格参入、「新顔」続々参戦で大競争時代が始まる
DIAMOND online ダイヤモンド編集部,堀内 亮 2019/07/23 06:00

ヘルスケア、オートモーティブに続き
エネルギービジネスを攻める

 IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が電力ビジネスに本格参入することが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。同社は今年4月、秘かにエネルギー事業推進室を設立していた。エネルギーをヘルスケア、オートモーティブに次ぐ成長分野と位置付け、収益の柱として育てていく方針だ。

 エネルギー事業推進室を設立する2カ月前の今年2月には、関西電力と石炭火力発電所の燃料運用最適化を行うソリューションの共同開発に基本合意している。

「成長分野であるヘルスケアとオートモーティブの延長線上として考えたとき、エネルギー事業は非常に親和性が高いと感じた」と新設されたエネルギー事業推進室の石坂弘紀室長。「発電、送配電、小売りといった従来の電力ビジネスではくくれない分野」にビジネスチャンスを見いだす。

 具体的には、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といったテクノロジーを駆使し、発電所や送配電網といった電力インフラのO&M(保守・運用)を最適化するシステム開発のほか、普及拡大が見込まれる太陽光発電を中心とする分散型エネルギー関連のサービス提供を展開する見込み。「将来的にはテクノロジーという切り口でスマートシティーの一翼を担いたい」(石坂室長)という。

DeNAの本格参入は序章に過ぎない

 2011年の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、電力ビジネスは大きく変わった。

 政府主導で電力システム改革が行われ、16年4月に電力小売り全面自由化が始まった。地域独占というビジネスモデルが崩壊し、異業種が電力小売りに参入している。とはいえ、主なプレーヤーは、電力と馴染みがあるガスや石油、通信といった企業で、価格競争が中心だった。

 電力小売り全面自由化が4年目に入り、競争は価格から顧客満足度を高めるサービスの質を競うものに変わりつつある。

 その鍵になるのは、新しいテクノロジーと太陽光を中心とした再生可能エネルギーや電気自動車(EV)といった分散型エネルギーだ。この二つをいかにうまく取り込むが、勝敗を分けることになる。

 水面下ではテクノロジーを武器にした“ニュータイプ”のプレーヤーが参戦の意向を見せており、従来の電力業界を脅かすことになる。DeNAの本格参入は序章に過ぎない。

 一部の業界関係者では、米グーグルや米アマゾンなどのプラットフォーマーが最新のテクノロジーを駆使し、「電力料金0円」という“超”価格破壊戦略を引っ提げて電力事業に踏み出すシナリオもささやかれている。

 電力業界の戦いは、異次元の新しいフェーズに入った。

(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
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